セルチャー豊胸(培養脂肪幹細胞付加脂肪注入)

セルチャー豊胸

セルチャー豊胸のよくある質問に、美容外科医 大橋昌敬が回答します。

セルチャー豊胸とは?

脂肪の定着に有利に働く幹細胞を人工培養し、これを脂肪とともに注入する豊胸手術のことです。再生医療に位置付けられていて「培養脂肪幹細胞付加脂肪注入」などとも呼ばれます。最近では、大学病院の乳房再建にも用いられるようになりました。

大橋ドクターの解説

幹細胞のはたらき

幹細胞の多分化機能幹細胞の多分化機能幹細胞とは、様々な細胞に変化(分化とも言います)する能力を持つ「細胞の赤ちゃん」のようなものとイメージしてください。
注入した脂肪は、そのままいつまでもバストの中で生き続けるわけではありません。最近の研究では、脂肪と一緒に注入された幹細胞が脂肪や血管に分化することで初めて定着し、ボリュームアップにつながるということが明らかになってきました※。つまり、バストに注入した脂肪が定着するには、脂肪細胞だけでなく、幹細胞が不可欠なのです。

幹細胞は、生理学的代謝回転、過形成および脂肪組織の萎縮、ならびに傷害後の修復などの偶発的なリモデリングにおいて重要な役割を果たす。

出典元:「脂肪移植後の変性、再生、および瘢痕化:最初の3ヶ月間の動的全組織リモデリング

幹細胞が豊富だと、どんな良いことがある?

セルチャー豊胸は、幹細胞を人工培養で増やし、注入脂肪に混ぜてバストに注入する豊胸術です。幹細胞が豊富に含まれるので、脂肪が定着しやすいと考えられます。
また、幹細胞は培養して増殖させるので、脂肪量の少ない痩せ型の人にも無理なく受けていただける点もメリットです。

施術の流れ

セルチャー豊胸は、次のような手順で進めます。

  1. まず豊胸手術に先立ち、幹細胞の培養に必要な脂肪を採取します。この時採取するのはわずか20cc。量にして大さじ1杯程度とごく少量なので、ダウンタイムの心配はありません(施術時間は15分程度)。
  2. 採取した脂肪から幹細胞を抽出して、これを約1ヵ月間培養します。培養によって、幹細胞の量は約7.5倍(数にして約1,000万個)に達します。なお、培養した幹細胞は分割して凍結保存することも可能です。脂肪を複数回に分けて注入する必要があっても、その都度幹細胞を添加できます。
  3. 再度ご来院いただき、豊胸手術を実施します。まず、バストに注入するための脂肪を採取させていただき、これをコンデンスリッチ豊胸と同じ要領で加工。これに培養した幹細胞を付加して、バストに注入します(施術時間は2時間半程度)。
  4. 手術後、麻酔が覚めたらご帰宅いただけます。

セルチャー豊胸(幹細胞培養豊胸)の手順セルチャー豊胸(幹細胞培養豊胸)の手順

乳房再建について

これまで乳房再建はシリコンバッグなどの豊胸インプラント(人工乳腺)によるものや、お尻やお腹の組織を移植する皮弁法がメジャーでした。しかし2019年現在、脂肪注入による乳房再建も臨床例が増えてきました。中には、豊胸インプラントでの再建後に変形したバストの調整や、皮弁法後の形の修正に脂肪注入を用いているというケースもあります。

再建乳房の輪郭変形を改善するために脂肪注入を受けた37人の患者の10年間について、研究発表が成された。

出典元:「再建乳房の輪郭変形を矯正するための脂肪注入

こうした脂肪注入豊胸による乳房再建の広まりは、豊胸インプラントによる乳房再建の経年劣化・変形リスクや、皮弁法による乳房再建の不自然な仕上がりの可能性があるかぎり、今後も勢いを増していくでしょう。

しかしその一方で、定着率が悪い・複数回の施術が必要などの課題もあります。たとえば乳房を全摘出した場合、胸の組織が減っているため一度の手術で定着する脂肪の量は限られてしまいます。完全に元のバストのような状態に戻すには、3回ほど手術を行う必要があるのです。

そこで再生医療の培養脂肪幹細胞付加脂肪注入(セルチャー豊胸)が今、注目されています。幹細胞の力で定着率を高めることができ、さらに複数回の手術に使用する量の幹細胞を一度の脂肪採取(20ml)で用意することが可能なのです。

お身体の負担を最小限に抑えたい、より自然なバストに仕上げたいとお考えの方に適しています。

セリューション豊胸(幹細胞豊胸:ADSC)との違いは?

どちらも再生医療に位置付けられますが、幹細胞を“培養する”というプロセスがあるかないかが一番の違いです。

大橋ドクターの解説

決定的な違いは「培養」のプロセス

幹細胞の働きに着目し、注入脂肪に含まれる幹細胞の量を増やそうという狙いは同じです。一番大きな違いは、セルチャー豊胸では幹細胞を培養するという点です。

セルチャーとセリューションの加工プロセスの違いセルチャーとセリューションの加工プロセスの違い

培養できるから、脂肪量が少ない人でも受けられる

培養できることのメリットは、材料として必要な脂肪量が少なくてすむということ。分かりやすく言えば、痩せた体型の方でも無理なく受けられるということです。
セリューション豊胸の場合、通常の脂肪注入豊胸に比べて200mL(片胸あたり100cc)も余計に脂肪が必要でしたが、セルチャー豊胸ならその10分の1の脂肪量で、セリューション豊胸の7.5倍の脂肪幹細胞を用意することができます。

セルチャー豊胸とセリューション豊胸の幹細胞数の違いセルチャー豊胸とセリューション豊胸の幹細胞数の違い

なぜ再生医療に位置付けられるの?

再生医療の2つの要件をどちらも満たしているため、正式な再生医療と位置付けられます。

大橋ドクターの解説

再生医療を名乗るには次の2つの要件を満たす必要がある

下記の2つの要件を満たしている場合には、再生医療と呼べます。

  1. 体の機能・構造の再建や修復や形成、もしくは病気の治療や予防が目的のもの
  2. 細胞加工物を用いるもの

    セルチャー豊胸はこれら二つを満たしています。

再生医療を提供するには、国の許可が必要

再生医療に位置付けられているセルチャー豊胸を提供するには、クリニック側も一定の条件を満たす必要があります。正規の手順で治療の提供計画を国(厚生労働省)に提出し、受理されていなければなりません。

効果はどのくらい?

セルチャー豊胸の症例をご紹介しましょう。MRI画像で確認しても、注入脂肪がしっかり組織の一部として定着していることがわかります。

大橋ドクターの解説

<症例1>45歳/身長152cm/体重38.5kg/BMI 16.6※ 

かなり痩せ型の方でしたが、幹細胞の培養に使う脂肪はお腹から、豊胸(脂肪移植)のための脂肪は腰や太ももから採取して対応しました。左右とも210mLずつの脂肪を注入しています。
※BMIは肥満度の指標。18.5を下回ると「痩せ型」とされる。

セルチャー豊胸の症例セルチャー豊胸の症例

<症例2>34歳/身長157cm/体重45.2kg/BMI 18.4※

この方は、2度にわたってセルチャー豊胸を受けていらっしゃいます。初回は右に220mL、左に200mL。2回目は左右とも250mLずつ注入しています。培養した幹細胞は凍結保存が可能なので、もし脂肪量に余裕があれば複数回の注入も可能です。
※BMIは肥満度の指標。18.5を下回ると「痩せ型」とされる。

セルチャー豊胸の症例(2回注入)セルチャー豊胸の症例(2回注入)